るろうに剣心の相楽左之助(さがらさのすけ)といえば自由気ままに生きる所と必殺技「二重の極み(ふたえのきわみ)」が魅力的ですよね。
るろうに剣心好きの私はマンガを読み進めていくうちに、ある意外なことに気がつきました。
これを知ったうえで再度マンガを読んでみると、今までとは違った目線で相楽左之助というキャラクターを楽しむことができますよ。
相楽左之助を好きな人と語り合ったら、話が弾んで今まで以上に仲良くなれることは間違いありません。
では、相楽左之助がどういったキャラクターなのかを見ていきましょう。
相楽左之助について意外だったこと
良い意味で中途半端な所です。
心は弱いが剣術が強い剣心。心は強いが剣術が弱い弥彦。その中間に位置するのが左之助かと思います。
剣心や斉藤一と比べてしまうと力量は足りない。けれども剣心よりは心は強い。左之助は物語序盤で数々の強敵と闘いますが引き分けか辛勝が多いのです。楽勝!という場面が少ないと思います。
けれども転機がありました。「森の出会い」(第72幕)です。
ここで左之助は悠久山安慈(ゆうきゅうざん あんじ)から二重の極みを習います。この二重の極みが本編最終まで、また北海道編でも活躍しており安慈との出会いが無ければ雑魚キャラに終わっていた事でしょう。
こんな所が中途半端(赤べこ編)
左之助は牛鍋店の赤べこに出入りしていますが、お金を持っていない為に「ツケ」になっています。
いつツケを返すのだろう?とモヤモヤとしておりましたが世界を見に旅に出た辺りで「大きくなって帰って来る」と予想したものです。それこそ赤べこのツケなんて一瞬で帰してしまうほど大きくなって。
本編で日本に別れを告げて北海道編で左之助が日本に帰ってきますが「北海道編で現時点では」大きくなった描写は少ないです(世界を見てきたくらい)
いずれ和月先生が大きくなった左之助を見せてくれるのではないかと、シゲルは心待ちにしています。
こんな所が中途半端(二重の極み)
悠久山安慈から二重の極みを習った左之助は雑魚キャラを卒業して剣心と並ぶほどの強さを手にするのです。
二重の極みを習得した事により左之助は一気に強くなってしまった感があります。
けれども、この二重の極みも中途半端なのです。
敵の装甲や武器すらも破壊してしまう破壊の奥義「二重の極み」ですが、その破壊力ゆえに自身の右腕も負傷してしまう諸刃の剣(もろはのつるぎ)となっています。
本編後半で左手で衝撃を和らげる二重の極みも登場しましたが左之助が学んだのは二重の極みの初歩の初歩。安慈和尚の遠当てや二重の極みの応用には及びません。
威力は強いが自分の拳もケガしてしまう二重の極み。この技も少し中途半端ですよね。
こんな所が中途半端(少年達の憧れ)
「良い中途半端」は悪い事ではありません。「適当」という言葉すらあるくらいですから。
るろうに剣心が少年誌で掲載されていた事もあり、適当な左之助は大変な人気でした。キャラクター人気投票でも毎回「剣心に次ぐ2位」をキープしておりました。理由は「良い意味で中途半端」だからだったと思いますよ。
剣術が「無敵」の剣心や、剣心に匹敵する強さの斉藤一は真似したくても出来るものではありません。
けれども中途半端な左之助ならば・・・。と思った少年達は少なくないはず。少年達が唯一真似できそうな「憧れ」が左之助だった訳です。
左之助も数々の名言を吐いています。マンガでも実生活でも「自分に近い存在・手を伸ばせば届きそうな存在」というキャラや人物には憧れるものです。剣心や斉藤一は雲の上の存在であり、少年達が真似するのは少し難しかったかもしれませんよね。
だからこそ、左之助の存在というのは少年達にとって重要だったわけです。
相楽左之助のプロフィール
名前:相楽左之助
性別:男性
生年月日:1860年2月
血液型:B型
性格:頭が良い猪突猛進型
身長:179cm
体重:71kg
好きな食べ物:羊羹・焼き魚・牛鍋
嫌いな食べ物:薫の作った味噌汁
趣味:喧嘩・昼寝
口癖:人にあだ名をつけて、それを連呼する
弱点:二重の極みを多用すると右拳も痛める
その他特徴:マンガ内でも現実でも少年達の憧れ(左之助の弟「央太」が背中に悪一文字を付けて喜んだ場面もあり)
声優:上田祐司
実在の人物モデル:新選組十番隊組長 原田左之助
るろうに剣心の大まかなストーリー
【東京編】
明治11年東京。 廃刀令(はいとうれい)が発布され西洋文化が街に入り込んだ割と、のどかな東京が舞台です。
かつて幕末で最強の維新志士(いしんしし)と呼ばれた「人斬り抜刀斎」(ひときりばっとうさい)の名を語る悪い輩を、流浪人(るろうに)の緋村剣心がこらしめます。
この流浪人こそが、かつて最強と呼ばれた人斬り抜刀斎であり、助けられた神谷薫は「私は人の過去になんかこだわらない」と剣心を引き留めるのです。
浪漫譚(ろまんたん)の始まりは東京下町、流浪人の緋村剣心来訪から。
剣心が神谷道場に居座ってから人斬り抜刀斎と戦いたい者が次々と現れ仲間になってゆきます。
【京都編】
事実上、日本権力の頂点に居る大久保利通(おおくぼとしみち)が暗殺された。
この暗殺を計画した人物が、志々雄真実(ししおまこと)という明治政府を転覆させようとしている者で、かつて志々雄は影での人斬りを任された、いうならば人斬り抜刀斎の後継者である。
彼は剣の腕も頭の回転も速く支配欲を抱えた危険人物であった為、戊辰戦争(ぼしんせんそう)の混乱に乗じて明治政府は志々雄真実を暗殺した。
しかし志々雄真実は生きていた。 彼は復讐戦争を計画して京都を拠点に十本刀(じゅっぽんがたな)と呼ばれる腕利きを同士にし暗躍(あんやく)を始めるのです。
志々雄真実を放置すれば、これから確実に日本の迷走が始まる。 剣心は薫に別れを告げて京都へと向かいます。
京都に行く途中で剣心は十本刀の一人と一戦交えますが、お互いの刀が折れてしまった為、勝負はお預けとなるのです。
不殺(ころさず)を守る為には今まで所持していた逆刃刀無しには戦えない事、そして己の力量不足を補う為に逆刃刀を作った刀鍛冶(かたなかじ)と飛天御剣流の師匠に会いに行きます。
剣心の剣術は決して弱くはない。けれども心が弱かったのです。 奥義会得(おうぎえとく)には大変な努力が必要になりました。
逆刃刀真打(さかばとうしんうち)と飛天御剣流奥義を会得した剣心は途中で出会った仲間と共に志々雄真実の拠点で勝負をする事になります。
剣心の留守中に十本刀の多くが京都を襲い始めました。 京都に向かった神谷薫、明神弥彦、道中で仲間になった仲間達と共に京都を守ろうとするのです。
圧倒的な戦力の差はありましたが、マンガ特有の奇跡が起きて京都と日本は救われます。
【人誅編】(じんちゅうへん)
かつて剣心は人斬り抜刀斎として多くの人を「天誅(てんちゅう)」の名の下に叩き伏せ多くの者を殺しました。その復讐が人誅編。
「天が裁かなくとも己が裁きを下す」というのが人誅です。 剣心を恨む者達が集まり復讐を計画します。
復讐の首謀者は、かつての剣心の妻(巴)の弟、縁(えにし)。 妻は巴(ともえ)という名でした。
巴もかつて婚約者を剣心に殺害され復讐を計画した一人で剣心の弱点を探す為に近づきましたが、その優しさに彼を愛してしまい復讐は失敗に終わります。
巴同様に剣心も巴を愛しました。 巴は自分自身が剣心の弱点になった事に気が付き、剣心を守る為に自分を犠牲にして彼を守るのです。
その一部を見ていた縁は剣心が姉を殺害した。と勘違いをし復讐はここから始まります。
剣心と親しくしている者、言葉をかわした者、剣心が守った日本全てが縁の標的です。 勘違いから始まった復讐が始まります。
縁は剣心と親しくしていた神谷薫を殺害。 生きる気力を失った剣心は刀を鎖で封印し心が壊れてしまいます。
しかし神谷薫の死に疑問を持った者が現れました。 かつて剣心と戦った仲間です。
仲間達で薫の墓を暴き、薫の死体が人形である事を確認。 薫がまだどこかで生きている事を確信します。 姉の死を間近で見た縁に若い女性を殺す事は出来なかったのです。
仲間を守る為、薫を救う為に剣心の心が復活します。
心が強くなった剣心は、ほぼ無敵の状態でした。 あっさりと縁をこらしめトドメは巴の日記帳。 巴が剣心をどれだけ愛したか、自分がどれだけ勘違いをしていたか知れば精神的に、やられてしまうでしょう。
時は流れ明治15年。 剣心と薫は結婚し子供を授かります。 剣心は弥彦を呼び出し剣に魂が宿っているか見極めた後、逆刃刀を弥彦に託して一線を退(しりぞ)くのでした。
相楽左之助に対しての熱い想い
二重の極み習得までは雑魚キャラでしたが、習得してからは一気に強くなり言葉にも重みが出てきているのです。
今回は、そんな左之助を解説したいと思います。
一番好きなところ
二重の極みを習得した後の京都編での活躍でしょう。
志々雄一派が京都から出航する際に左之助に放った回転式機関砲(ガトリングガン)を水面に二重の極みを放つ事で水の盾にして防御し、所持していた炸裂弾で志々雄真実の船を沈めてしまう所が一番の見せ場だったのではないでしょうか?
二重の極みはマンガ内で色々と応用されており、この技を覚えた左之助は格段に強くなりました。
ニコニコ動画では「各国のフタエノキワミ、アー!を検証してみる」という動画が流れ、日本語・英語・スペイン語・ポルトガル語・韓国語・中国語・タイ語・ロシア語・フランス語・スペイン語・ギリシア語などの各国の「空耳」での二重の極み、アー!を楽しむ事が出来ました。
剣心・斉藤一・左之助が志々雄真実にやられてしまった後に四乃森蒼紫が登場してボソリと一言つぶやくのですが
各国の空耳が「俺超いい匂いビックリ・たらこサラダでヴィクトリア・長崎は北西部がいいっす・ひこにゃんだったすんげえよ・姉ちゃん江戸でシャンプー・ブリブリすぎる地名・あんたは冬をなめちょる・視点を板に吊してギリギリ太るカレーセット」などの「空耳」の名セリフが飛び出し、二重の極みはこの動画で世界に浸透しているんだな。と確信しました。
世界で愛される二重の極みの使い手。それが左之助です。
外見のポイント
志々雄一派、十本刀の張から「トリ頭」と言われていますが、たしかにニワトリのトサカが生えたような髪型で少年漫画にありがちな髪型です。
腹には、さらしを巻いており上着の背中には「悪」の文字が入っています。
歩んできた人生
父・東谷上下ェ門(ひがしたに かみしもえもん)と、母・奈々芽(ななめ)の間に長男として生まれる。
信州出身で赤報隊に入る為に家出をし、相楽隊長の下で準隊士として務め赤報隊が約束してた「年貢半減令」を伝えながら東山道(ひがしさんどう)を北上していたが、明治政府にとって年貢半減令が邪魔となったのか赤報隊は明治政府から「ニセ官軍」の汚名を着せられる。
隊長の相楽総三は下諏訪の本陣に出頭しましたが斬首され、さらし首に。
敬愛していた隊長を悪者にした維新志士が許せずに、喧嘩に興じることで憂さ晴らしをして強くなって行き、裏社会では「斬左」の呼び名で通るほどの凄腕の喧嘩屋となった。
目的としていること
真の四民平等の社会を実現させる為に力を注いでいる。
まずは赤報隊(せきほうたい)を壊滅に追い込み、偽りの新時代を作った維新志士含む明治政府を倒す事を考えてはいたが、剣心の登場により考え方が変わる。
明治政府を許せない事に変わりは無いが「隊長があの世で笑ってくれるやり方」で生きて行く事を決める。
性格について
純粋で真っ直ぐな性格。曲がった事が大嫌い。
阿片で友人が亡くなったと知った時に高荷恵の救出に躊躇(ちゅうちょ)しましたが、剣心の説得もあり観柳邸(かんりゅうてい)に突入する事を決意した。
また、悪一文字を背負う男として、あまりに純粋であり姑息な事は許さない少年誌向きの準主役が左之助です。
先義後利(せんぎこうり(義を重んじて利益は二の次に考える事です))な所があり、それがかつて喧嘩屋をやっていた頃に喧嘩料は「自分が楽しめたかどうかで決める」。未だ消えぬ赤報隊への忠誠・剣心の補佐・高荷恵への助言など、あらゆる箇所に見られます。
明神弥彦が「凄い男」と認めたのが分かる気がします。
普段の行動
斬佐の名前で喧嘩屋をしていたが、剣心に負けてからはプータローとなり友人達と赤べこで食事したり、博打をしたり、たまに喧嘩をしたりしている模様。
強敵が現れると、すぐさま駆けつけてくれる辺りは頼もしい限り。本編ではない北海道編でもそれは同じで剣心が困っていると、すぐに駆けつけてくれましたよ。
名言・名シーン
<名言>
- 俺は維新志士なんてのは全て俺の大嫌えな偽善野郎だと思ってる(第6幕より)
- 偽りの新時代をでっち上げて満足してる維新志士が言うんじゃねェ!(第8幕より)
- せっかく来たんだ 思いきりパァーと楽しんでよ シケた気分は今日限りにしな(第15幕より)
- 阿片がこれ以上出回るのは絶対勘弁ならねえ 必ずブッ潰してやる!(第16幕より)
- ケンカは蹴りだって有りなんだぜ(第18幕より)
- 四の五の考えんのはもう止めだ ここは俺らしく ひと暴れしてやるぜ!(第20幕より)
- 三下で我慢してやるのは 俺の方だぜ!(第24幕より)
- 色んな奴があいつを慕って輪をつくる(第25幕より)
- けど その女どーしてもしょっぴくってんなら もうひと暴れぐれえしてやんぜ!(第29幕より)
- 一流一場を担うんなら相手が強すぎたなんていっても言い訳にしかならない(第37幕より)
- ったく おめーは俺の居合わせない時に限って 楽しいケンカしやがって(第39幕より)
- 俺の斬馬刀の時と似た様なモンだな どんなに威力があっても あたらなきゃ意味がねぇ(第41幕より)
- おめえは この世で一番恐ろしい男の逆鱗に とうとう触れちまったんだぜ(第41幕より)
- そんじゃ月岡津南の伊庭八の絵 二枚でいいんだな(第45幕より)
- もう春だってのに 冷めた風が吹きやがる(第46幕より)
- 俺にとって赤報隊は やっぱり特別なんだ(第46幕より)
- あの世で隊長が笑って見てくれるやり方で俺はいかせてもらうぜ(第47幕より)
- 要するに全て明治政府が仕出かした 卑劣な所業が原因なんだろ(第55幕より)
- 剣心に弱点扱いされた事の方が 万倍痛えんだよ!(第58幕より)
- ヒヨッコだからって 甘くみてんじゃねーぞ(第59幕より)
- 今よりもっと 強くなりてえ(第72幕より)
- 全ての理不尽な暴力を打ち叩ける力を この手にして・・・!(第73幕より)
- この背中の悪一文字にかけて 京都は絶対に焼かせねェ!(第93幕より)
- お前の「力」になってやるために決まってんだろが!(第98幕より)
- あんたの言ってた「救世」ってヤツをこの拳で確かめてやるぜ!(第103幕より)
- だからって退く訳にいくか!(第108幕より)
- 命懸けで二重の極みを会得したこの拳なら 絶対に出来ると確信してた(第109幕より)
- 失って人生が歪んでしまうくらい・・・本当に大事に想っていたんだろ・・・(第111幕より)
- ガシガシ打ち合っていたさっきまでより お互いよっぽど痛えだろうぜ(第119幕より)
- 相変わらず 損な闘い方しか出来ねェ男だぜ・・・(第134幕より)
- てめえ また勝ち逃げかよ!(第146幕より)
- やっぱ 超えるしかねェか!(第150幕より)
- おめーの負けだな弥彦 悔しかったら神谷活心流で剣心を超えてみせるコトだ(第152幕より)
- おめーがそんなツラしてりゃあ「剣さんの幸せ」とやらも結構 台無しになるんじゃねェか(第152幕より)
- しかしじゃねェよ お前もいい加減そろそろ平和に慣れろよ(第154幕より)
- 男と自負するなら手ェ出すな 例え剣心が死ぬコトになっても(第180幕より)
- 夢を語って笑うなら もっと胸張って堂々と高笑いするもんだぜ(第180幕より)
- 極めるとは こういうコトだ!(第193幕より)
- どーすか師範代?一番弟子の成長振りは(第196幕より)
- このままじゃおさまらねェ!このままじゃ終われねェだろ!(第208幕より)
- 帰る場所のある奴が帰る覚悟なしに闘うんじゃねェ!守るなら最後まで守り通す覚悟で闘え!(第232幕より)
- やっぱ ウサを晴らすには大暴れするのが一番だな!(第233幕より)
<名シーン>
偽りの新時代
剣心の龍槌閃(りゅうついせん)を受けた後、フラフラになりながら「四民平等と抜かしときながら欲に溺れ てめえらだけでふんぞり返る 偽りの新時代をでっち上げて満足してる維新志士が言うんじゃねェ!」と剣心に罵声を浴びせるシーン。
いつの時代にも見られる事で、欲に溺れる者が権力を握っていたりします。
その後、剣心の説得があり「本当の新時代を夢に描いて闘った相楽隊長」と剣心が、ダブッて見えてしまうのです。
絶望して諦めて喧嘩をする事でウサ晴らしをしていた自分が情けなく思えてしまったのか左之助が負けを認めるシーンや、汚い権力者は許さない所は現代人にも通ずるものがあるかとシゲルは思います。(第8幕より)
阿片女
るろうに剣心本編で仲間同士で本気で睨み合うのは、ここだけではないでしょうか?剣心と左之助が高荷恵救出を言い争って火花を散らします。
友人を高荷恵が作った阿片で殺された左之助。捨てられた子犬のような境遇の彼女を放っておけない剣心。
「人が動くに、いちいち理由が必要ならば 拙者の理由はそれで十分でござる」と剣心。
この次のコマを見ると左之助が「コイツ、相楽隊長と同じような事を言いやがる」という目で剣心を見ています。左之助の中での相楽隊長は「絶対」なので隊長の命令とあらば!という感じで左之助も高荷恵救出に出向くのです。(第20幕より)
左之助と錦絵
るろうに剣心の主要キャラでは弥彦が主人公の(弥彦の闘い・弥彦真の闘い・弥彦の逆刃刀)番外編的な話がありましたが、左之助にも番外編があります。
左之助が主人公の番外編的な話は(左之助と錦絵(3話(第45~47幕))・男の背中(7話(第228~234幕))と主要キャラだけあり番外編も豪華です。
左之助にとって赤報隊は特別なのですが、かつての赤報隊準隊士である仲間との出会い・明治政府への報復が「左之助と錦絵」(第45~47幕)の大まかな内容になっています。
赤報隊のかつての仲間である月岡克浩(つきおか かつひろ)は爆弾作りの名人で明治政府を転覆させるための炸裂弾を押し入れの中に、どっさりと隠し持っていました。
内務省の侵入には剣心に邪魔されて失敗に終わりましたが炸裂弾は後々新型になり、志々雄真実が全財産の3/5を費やして購入した大型甲鉄艦「煉獄(れんごく)」を左之助が新型の炸裂弾を用いて沈めています。新型炸裂弾制作者は元赤報隊準隊士である月岡克浩。
月岡本人は「護身用」と言っておりますが大型甲鉄艦を沈めてしまうほどの炸裂弾が護身用とは到底思えません。
皮肉にも明治政府を憎む元赤報隊員2名が明治政府を助ける事になりますが相楽隊長は、あの世で笑っていたのではないでしょうか。(第47幕・第102幕より)
ヒヨッコ
斉藤一の牙突(がとつ)を肩に受けて重傷を負った左之助ですが、剣心が京都に出発し左之助も後を追おうとする所で斉藤一から忠告が入ります。
「抜刀斎にとってお前等の存在など 弱点以外の何でもないんだ」と。
それを聞いた左之助は「剣心に弱点扱いされた事の方が 万倍痛えんだよ!」と斉藤に反撃。この頃の左之助は裏社会の喧嘩屋としては十分強いのですが幕末の動乱を生き延びた斉藤には通用しませんでした。
さらに斉藤からヒヨッコ呼ばわりされますが、傷だらけになりながらも左之助は斉藤の左腕に怪我を負わせ、彼も諦めたのか「京都に行きたくば勝手に行け そしてさっさと殺されてこい」と捨て台詞を吐いてその場を後にします。
この頃は強者達の中では確かに左之助は弱かったかもしれません。しかし後々転機が訪れます(第59幕より)
二重の極み
マニアの皆様、お待たせしました。二重の極みの登場です。
森で修行中の悠久山安慈と出会う左之助。法力のような力に驚いた左之助が安慈に、俺に教えてくれと頼みこみます。
一週間で二重の極みを成し遂げられなければ死んでもらう。と約束を交わし手を血だらけにした6日目の夜に相楽隊長の幽霊が現れた。
「何もかも忘れて今はもう休め これは隊長命令だ」と相楽隊長が言いますが左之助は悔しかった過去を思い出し、命令違反的な台詞を口にするのです。(隊長の命令違反をしたのは、この時が初めてだったのではないでしょうか)
7日目の朝、安慈の前で二重の極みを披露しますが大岩をも粉砕する完成度に安慈和尚も驚いております。相楽隊長の幽霊・奇跡的に完成した二重の極み・その完成度。
様々な奇跡が起こり二重の極みを一週間で完成させるに至った訳ですが、左之助が修行をしていた森は赤報隊終焉の地「下諏訪(しもすわ)」だったのです。
相楽隊長が左之助に必要なモノを引き寄せてくれたのかもしれません。下諏訪で会得した二重の極みは本編・北海道編でも大活躍しております。
安慈と左之助が握手をして別れる際に、安慈がこんな事をつぶやいているのです。
「昨日までは ただのヒヨッコだったくせに 今日はまるで巣立ちした若鳥のようだ」(第73幕より)
煉獄撃沈
京都に到着した左之助は剣心と会い、京都大火・東京砲撃を阻止する為に志々雄真実の甲鉄艦「煉獄」に到着する。
左之助は海上に浮いている木の板の上を煉獄に向かって走り出すが志々雄真実がそれを読んでいた為、左之助に向けて回転式機関砲(ガトリングガン)が斉射された。
とっさの機転で左之助が水面に向けて二重の極みを撃つと水が盾となり回転式機関砲が無効化され、所持していた新型炸裂弾を煉獄に向けて投げると大爆発を起こし機関部大破!
弾薬庫に火の手が迫り船底が浸水して煉獄は撃沈。少し前までヒヨッコだった左之助の意外性と彼を雑魚と見ていた志々雄真実の隙から船は沈没した訳ですが左之助の修行の成果が、ここまで派手に現れると見ていて本当に気持ちいいです。(第101・102幕より)
三重の極み
志々雄真実のアジト。六連ねのほこら内部では、かつて二重の極みを伝授した安慈が左之助を待っていました。ここから左之助と安慈の死闘が始まりますが勝負は長引き、お互い共に精神が肉体を凌駕してしまったので二重の極みは切り札ではなくなりました。
ここで安慈が出してきたのが二重の極みを応用した、剣を使った遠当て。左之助は飛んで対処するしかありませんが飛ぶ所は安慈に読まれていました。
左之助と安慈。2人の正拳での二重の極みのぶつかり合いとなりますが二重の極みにさらに指をはじく事で衝撃を重ねる「三重の極み」を左之助が出し左之助が説得した所で勝負あり。
三重の極みが入ったシーンは見開きで豪華に使われています。格好いいですよ!(第111幕より)
血は争えない
喧嘩好きの上下ェ門、息子の左之助と央太。央太(おうた)だけが、いつも左之助の妹、右喜(うき)に守られておとなしい性格ですが、やる時はやる。
不動沢一味200人を背中に防具を背負い、片手に木の枝を装備して闘いに行こうとします。もちろん不動沢一味は左之助が全員やっつけてしまうのですが、まだ子供なのに200人の大人を自分1人で相手しようとした所が凄い!
東谷一家は戦闘狂の集まりなのでしょうか?この話から5年後の神谷道場に東谷央太の名札がありますよ。しっかり神谷道場の門下生として頑張っているようです。(第255幕より)
名シーンはもちろん、不動沢一味をやっつけた左之助の背中に書いてある「悪」を見た弟の央太が、右喜にお願いして着物の背中に「悪」の文字を縫ってもらい、それを見て目を輝かせているシーンでしょう。「悪」の文字の意味は、たぶん分かっていない。けれども央太にとってはこれが凄く格好いい!
日本好きな外国人が意味不明な日本語のタトゥを入れる「あの感じ」かな?などとも思ったりしたのでした。(第228~234幕(男の背中より))
凄さを解説
ここでは左之助が使う技などを解説させて頂きますね。
- 異常なまでの打たれ強さ
剣心と闘った時、今まで全ての敵を一撃の下に倒してきた飛天御剣流の一撃が左之助には通用しません。龍槌閃をまともに受けても立っています。チンピラとの喧嘩で寸鉄を眉間に受けても全く効かなかった。けれども、この設定がいい。防御力が無かったら防御のイロハを覚える事に熱中して二重の極みは登場しなかったと思います。
- デコピンでチンピラを撃破
牛鍋屋で喧嘩を売った左之助がチンピラと闘いますが、デコピン一撃で相手を倒しています。
相手が弱すぎたのか左之助が強すぎたのか、どちらかは分かりませんが指を弾く力が尋常ではないのは確かなようです。
この指を弾く力の強さが後々登場する「三重の極み」に活用されています。 - 二重の極み
全ての物質には抵抗が存在するので拳打などで物質を破壊しようとしても、その衝撃は完全には伝わりきらない。
しかし一撃目で抵抗とぶつかった瞬間に第二撃を入れると衝撃は抵抗を受けることなく完全に伝わり物質を粉砕する。これが安慈和尚が開発した「二重の極み」であり左之助が伝授されている。
後に左之助のオハコ的な技となり、現在連載中の北海道編でも大活躍しています。 - 三重の極み
左之助と安慈和尚の対決は「二重の極みをどちらが先に入れるか」のはずだったのですが、精神が肉体を凌駕してしまった二人に決め手が無くなりました。その時に放った二重の極みにさらに指を弾く事で抵抗がなくなった物質に二度の衝撃を入れる三重の極み。腕への負担が大きいので本編では、ここでしか登場していません。
- 二重の極み改良型
二重の極みは刹那の瞬間に二つの衝撃を重ねることで抵抗をゼロにした所に、威力を完全に伝える破壊の極意。しかしその破壊力ゆえに拳にかかる負担が半端ないので左之助は左手を右手に添えて衝撃を左右の手に振り分ける事で右手にかかる負担を半分以下にしている。
本編後半で出てきた右手をかばう目的で使用された改良型。弱点は連発で打てないこと。
謎めいたところ
赤報隊との出会い 赤報隊は1868年、鳥羽伏見の戦い直後に結成された民衆部隊。
この時、東谷一家が何をしていたのか・左之助だけどうして赤報隊の存在を知る事が出来たのかが謎です。
左之助の人生を左右させた赤報隊なので、左之助と赤報隊の関係をもう少し深掘りして欲しい。と思うのでした。
もしかしたら北海道編で、そのヒントとなるモノが登場してくるかもしれませんね。(第7・73・232・234幕より)
相楽左之助の残念なところ
自由気ままな左之助にだって悩みくらいあります。今回はその点も交えて解説です。
重度のこだわり
本編でも分かる通り、いくら何でも左之助は赤報隊にこだわりすぎです。雪代巴を想う剣心・志々雄真実に忠誠する瀬田宗次朗と本条鎌足・明治政府に失望した安慈・維新志士を憎む斉藤一・赤報隊に未だ忠誠を誓う左之助。
本編で剣心が雪代巴のトラウマに悩むシーンはありましたが、見事に吹っ切っています。
左之助と安慈以外の者は、つらい過去とは決別しています。
もしかしたら二重の極みの使い手というのは、つらい過去と決別しづらい性格の持ち主なのかもしれませんね。
斬馬刀
戦国時代以前に敵将を馬ごと切り倒す事を目的に製造された巨大刀剣。左之助が所持するのは応仁の乱頃の骨董品で切れ味は無いに等しいが叩き潰す事は可能な「斬左の相棒」。
その相棒ですが剣心の逆刃刀で真っ二つにされ、つなぎ合わせて再度登場の鯨波兵庫戦では砲弾を跳ね返す事に成功しますが再び折れます。
その直後の戌亥番神との闘いで砕け散り、あまり良い所が無いまま終わってしまいました。
左之助の残念な所というよりは「左之助の相棒」と呼ばれた残念な武器の紹介でした。
自作ストーリーを考えてみた
斉藤一・明神弥彦に続き、左之助のオリジナルストーリーを考えてみましたよ。
舞台は本編最終話から5年後。左之助が世界に旅立ち日本に帰国する所からです。
「世界と闘った男」
第一章 斉藤一の忠告
第二章 使えない左半分
第三章 零距離の極み
第四章 相楽隊長の教え
第五章 斉藤一との再戦
第六章 奥義 斉藤一
第一章 斉藤一の忠告
京都での志々雄真実・東京での雪代縁の闘いから5年後。
左之助は世界を回り日本に帰ってきた。右腕も完治し新たなる喧嘩相手を探して街を歩く左之助
「どこかに猛者はいないもんかね」
とブツブツ呟きながら歩いていると目の前に現れたのは斉藤一。
「よう。右腕は治ったみたいだな。世界の観光旅行は楽しかったか?」と斉藤が左之助に軽く挑発を入れる。
「おお!猛者登場か! 喧嘩にはぴったりの相手だぜ」と目を輝かせてウズウズする左之助。
「まあ待て。今日はお前に忠告をしに来たんだよ」と斉藤が左之助を静止させた。
「何だ?忠告って」
「お前の右腕の技、二重の極みだ。アレは使える。逆に言うとアレしか使えないのだがな」
「おお!さっそく喧嘩か!こう来なくちゃな!世界にも強い奴は居たが日本には、お前や剣心が居る!」
「待てと言っているだろう。今日はお前を強くしてやろうと来たんだよ。富国強兵の話題が上がってきていてな、強い者が必要なんだよ」
斉藤が話を続ける
「お前の二重の極みは右腕の正拳のみしか使えない。ならば相手が左に避けてしまったらどうする?」
「そ、そりゃあ左に回転して右の正拳を入れるさ。世界の強豪ともそうやって喧嘩してきたしな」と左之助。
ふう・・・。と、口にくわえている煙草から煙を、ため息のように吐いて左之助の弱点を次々と斉藤が暴く。
「ならば相手が零距離まで接近したらどうだ? 相手が左に避け続けたらどうだ? 相手が左利きだったらどうだ?」
「・・・。そ、そりゃあ手強くなるな」
「そうだろう?俺も突進でしか使えない牙突を零距離から撃てる「零式」というのを編み出した。二重の極みは一度見た強敵には通用しないんだよ。お前も何か新しい技を身につけろ。そうしたら相手してやるよ」
「お・・・おう!お前に言われなくとも新しい技は考えていた所だぜ!」
「じゃあな、頑張れよ。阿呆が」と言うと斉藤は立ち去ってしまった。
左之助は右腕最強、二重の極みがあれば、どんな強敵とも闘えると思っていたが斉藤の忠告が入り、斬馬刀のように二重の極みも「当たらなければ意味がない」モノだと気づきはじめた。
くそう!と道に生えている木を叩き八つ当たりする左之助。
薄々気づいてはいたが、斉藤の忠告で二重の極みの弱点が露呈し、その日はイライラしながら昔住んでいた長屋に帰路した。
第二章 使えない左半分
汚い長屋内では酒を呑みながらブツブツと左之助が呟いている。
「右腕の正拳は最強なのに、どうして左はこうも弱いんだ? 右と左でバランスが悪いよな・・・」
右腕の正拳が入れば相手の武器や防具すら破壊してしまう二重の極み。しかし、その必殺技が正面の相手。
しかも一定の間合い・一定の角度・一定の高さでしか使えないのだ。
世界に旅立った時、二重の極みはどんな国のどんな強者でも粉砕してきた。しかし・・・。
「これじゃあ斬馬刀と同じで当たらなければ意味がねえじゃねェか!」
酒が入った徳利を壁に投げつけて八つ当たりをする左之助。
問題は零距離の相手と左利きの相手である。
左利きの相手ならば軸足が右足なので二重の極みを繰り出しても相手が右に移動してしまえば避けられてしまう。しかも相手に攻撃を避けつつ右正面に移動されたら、すぐに左での近距離攻撃も受けてしまう。
左之助はブツブツと呟いた。「くそう!左足で二重の極みを使えればなァ!」
安慈から教わったのは二重の極みの基礎の基礎。 左足で二重の極みを繰り出すには10年はかかる事だろう。
ここで左之助が閃いた。「ん?まてよ?左足を二重の極みの繋ぎ技として使えないか?」
第三章「零距離の極み」
何か思いついたようにブツブツと呟きながら長屋から外に出る左之助。
新必殺技の案がすぐそこまで出かかっていた。
まずは接近した零距離相手の二重の極みだ。よく考えろ・・・。とブツブツと独り言を唱え始める左之助。
彼は空気相手にブンブンと右拳を振り回す。
左之助はふと思いついた。
「そうか!正面に正拳を出しても、しゃがむか移動されるか接近されたら避けられてしまう!ならばこれはどうだ!」
と、右肘を90度に曲げて身体を捻り真横に二重の極みを放ってみると、鋭い拳が空気を引き裂く。
「おお・・・。これは使えるんじゃねェか?」
世界に旅に出た時に、アメリカでこんな技を使っている奴がいたな。ボクシングとかいうの使っている奴が居たな!
少しコレを改良してみよう。接近戦をイメージするんだ・・・。相手が零距離まで接近する・・・。
ここで右手を上げると相手に拳打を出すとバレてしまう。ならば腰だけ左に回転させつつ相手に当たる直前で二重の極みはどうだ?
左之助の予想は見事に的中した。
正拳よりも威力のある二重の極み。西洋風に言うと「フック」の完成である。
下から突き上げるようにして入れる二重の極み。西洋風に言うと「アッパー」も完成した。
彼は調子に乗り、夜中というのにも関わらず、そこらの大きな石で零距離での二重の極みを試して見ると彼自身が、その威力に驚いた。
「こいつは凄ェ!正拳の比じゃねェ!」
零距離なら、これで対処できる! あとは左利き相手の対策か・・・。
彼は自身が破壊した大岩の上に座り、考え込んだ。
第四章「相楽隊長の教え」
左之助は真っ暗な夜空を見ながら昔の事を思い出した。
「そういや昔、相楽隊長が言っていたな・・・。3発の軽い攻撃よりも一発の重たい攻撃の方が効くって・・・」
左足をさすりながら彼は考えた。
「この左足を鍛えて重たい蹴りを出せるようになれば少しは効くんじゃねェか?」
アメリカで喧嘩したボクシングというのを使う奴も強かったが、タイで喧嘩した奴の蹴りも重たかったよな。
あのタイ人、まだ元気かなァ? また喧嘩してえなあ。強い蹴りを教わりてェなあ。
あれこれと左足の使い方を考える左之助だが、それでも二重の極みには遠く及ばない。右腕最強の必殺技は安慈から教わった破壊の奥義なのだ。
でも、この左足はその破壊の奥義に持って行く為の「繋ぎ技」としては使えるんじゃないか?
試行錯誤しながら左足で空気を蹴る。
「重たい蹴り・・・。重たい蹴り・・・」とブツブツ呟きながら、左足でそこらの大岩を破壊する左之助。
その威力は二重の極みには遠く及ばない。
「そういや、あのタイ人が妙な技を使っていたな・・・。たしか、こんな感じで・・・」と左足を大岩に、柔らかく当てて押し込むようにして回し蹴りを放つと岩が移動した。
岩が左足の動きと同じ動きをして岩は彼の正面で止まった。
放った重たい回し蹴りで大岩は目の前にあり、右腕が二重の極みを放つ体制になっているではないか。
足が相手に密着しているので、この体制から相手は左に移動できないし、拳を突き出せば正拳での二重の極みが入る。相手が避けようと正面に向かってきても零距離での二重の極みが入る。これだ!!
長年の悩みが一気に解けたような気がして彼は夜空に向かって相楽隊長に敬礼した。
「相楽隊長ありがとうございます。昔の教えが今になって役に立ちました。どんな些細な事でも「教わった事」というのは意外な場面で役に立つものなんですね」
第五章 斉藤一との再戦
それから左之助は一ヶ月留守にして安慈から奥義を教わった森で修行を積み東京に戻ってきた。左之助が斉藤との再戦を果たそうと警察署に向かう途中で、ぱったりと斉藤一と出会う。
「おっ!斉藤!喧嘩しに来たぜ」
「ん?ああ、お前か。何だか顔つきが変わったんじゃないか?仕方ない。食後の運動でもしてやるか。」
斉藤は腰に二つ差していた刀を地面に置き、その中の1本である脇差を取り出した。
「おいおい!斉藤!脇差はねェだろ!日本刀で得意の牙突を頼むぜ」
「お前如きのヒヨッコは脇差で十分!刀に血が付いたら手入れに苦労するんだよ阿呆が」
「まあこの際、脇差でもいいか!森での修行の成果を見せてやるぜ!」
「阿呆が。人目が気になるから、さっさと終わらすぞ」
斉藤がそう言った瞬間、斉藤は左之助に向かって走り出し得意の牙突を放った。しかし強風に耐える柳の如くヒラリと牙突の弱点である右側面に避けると左之助は左足で重たい蹴りを斉藤の脇腹に入れる。
蹴りは相当に重たい蹴りで斉藤はその蹴りで左之助の正面に移動してしまった。左之助は既に二重の極みの構えに入っており、すぐにでも正拳を放てば破壊の奥義が入る。
「し・・・しまった!」と斉藤が脇差しを盾にして身を守る。
「二重の極みィ!」の声と同時に斉藤の脇差は粉々に粉砕された。
「どうだ斉藤!世界を旅して見てきた俺の技は!」と得意そうな左之助。
「やれやれ・・・」といった表情の斉藤。
第6章 奥義 斉藤一
斉藤が左之助に言葉をかける。
「今日はお前の勝ちでいい。よくぞ弱点を克服したもんだ。」
「なんだ!?いつもの斉藤らしくないな」と左之助。
「ところでさっきの左足の蹴りは何だ?構えも日本のモノじゃないよな?」
「ああ、タイにムエタイっていう格闘技の使い手が居てよ。カヤップっていう構えまで教えてくれて、そいつの真似をして編み出した技がアレだ。何か技名とか欲しいんだが良い案とか無いか?」
「ならば「奥義 斉藤一」というのはどうだ?」とニヤリと笑いながら左之助に提案する斉藤。
フッ・・・。と笑いを堪えながら笑いを堪える左之助。
「斉藤、実はな。「奥義 斉藤一」は既に考えてあるんだ。あそこに牛鍋の赤べこがあるだろう?」
「ああ、人気の牛鍋店だな。俺は入らんが」
「あそこで「奥義 斉藤一」を決めて来るから、まあ見てな!」
白い歯をキラリと輝かせると左之助は服を脱ぎ、ふんどし1枚で赤べこに入って行った。
店内から悲鳴が響き渡る。
「キャアァァァァ!!!」
「妙さん!今までのツケをそのままにしておいて、本当にすまなかった。裸で土下座する!」
「イヤアァァァァ!!!」
「小さい嬢ちゃんも、すまなかった!「奥義 斉藤一」で謝罪する!これは謝罪の奥義なんだ!俺の土下座を見てくれ!世界を見てきた男の心からの謝罪を受け取ってくれェ!」
「左之助さん!服を着て下さい!ツケはいいですから!ツケはいいですから!」
「そんな事言わずに!「謝罪の奥義 斉藤一」を見てくれ!受け取ってくれ!感じてくれェ!」
「キャアァァァァ!!! イヤアァァァァ!!!」
妙と燕の悲鳴が響き渡る騒がしい牛鍋店を遠目に斉藤がポツリとつぶやく。
「あのド阿呆が・・・。」
ブツブツと呟きながら、その場を後にする斉藤一。
「奴が帰国したら、あいつの弱点を教えてやってくれ。と頼まれたが脇差しを1本ダメにしちまったな。・・・。抜刀斎。約束通り、かけそばを奢ってもらうからな」
アニメ化について
マンガと比べると左之助が少しコミカルなキャラとなっていますが重要キャラである事に違いはありません。
特にニコニコ動画の「フタエノキワミ、アー!」で主人公の剣心を喰ってしまうほどの人気ぶりを一時期見せつけてくれました。
その人気ぶりは前述の通り世界に通ずるものがあり、週刊少年ジャンプに連載されたマンガは絶大な人気があり、近年だと「鬼滅の刃(きめつのやいば)」のアニメや映画が人気でしたよね(鬼滅の刃も週刊少年ジャンプ連載マンガです)
有名な作品だと、ドラゴンボール・スラムダンク・こちら葛飾区亀有公園前派出所も週刊少年ジャンプの作品ですね。
週刊少年ジャンプ作品をアニメ化するとハズれが少なくなるのは「友情・努力・勝利」のキャッチフレーズがあるからかな?などと思ったりもするのでした。
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実写化について
実写化は大成功だったと思います。
左之助役は青木崇高さん。良い意味で無駄に元気があり、本物の格闘家である「戌亥番神(いぬいばんじん)役の須藤元気さん」との闘いは面白くも熱い闘いでした。
何と闘いの最中に二人が飲食を始めてしまうのです。戌亥番神を演じるのが須藤元気さんだったから戌亥番神が勝利してもよかったなー。とは思いましたが妙な所が原作に忠実で青木崇高さん演じる左之助が勝利します。(須藤元気さんは元プロ格闘家です)
今年(2021年)公開される「るろうに剣心 最終章」で40歳の青木崇高さんが19歳の左之助をどう演じるのか?が非常に気になる所ではありますが、前作までの活躍ぶりもあり大丈夫でしょう。
青木さんの演技を見ていたのですが「考えるより先に身体が動くタイプ」を見せつけており、一見、何も考えずに「勢いで演技をしている感」はありますが、裏の気持ちを作りつつ気持ちを動作に乗せている。実はこれがとても難しくて並の俳優さんでは出来ないと思います。
「裏の気持ち」とは台本があり台詞が書かれてあるとします(台本は大抵「縦書き」です)。その台本に自分の気持ちを乗せて発言するのです。
例えば、台本に以下のような台詞が書かれてあるとしましょう。台本は戌亥番神戦でのページとします(しつこいようですが台本は大抵「縦書き」です)
戌亥番神に吹っ飛ばされる左之助
左之助 「ちょっと待て!ちょっと待て!」
戌亥番神「何を待つ!」
近くにあった肉を取ってかぶりつき、食事を始める左之助
左之助 「お前も喰うか?うめえぞ」
かじった肉を戌亥番神に放り投げ、肉を受け取る戌亥番神
戌亥番神「俺は菜食主義者だ・・・。可哀想に・・・。」
左之助 「コレ飲むか?」
瓶に入った酒を戌亥番神に手渡す左之助
戌亥番神「くれ」
これに裏の気持ちを入れると、以下のような感じになります。(演じるのが私、シゲルだった場合)
戌亥番神に吹っ飛ばされる左之助
(左之助の裏の気持ち:こいつ、凄く強いじゃねえか!少し休憩しよう!そうしよう!)
左之助 「ちょっと待て!ちょっと待て!」
(こいつ、凄く強いじゃねぇか!少し休憩しよう!そうしよう! をイメージしながら台本の台詞を発言)
戌亥番神「何を待つ!」
近くにあった肉を取ってかぶりつき、食事を始める左之助
(左之助の裏の気持ち:以外と美味しいじゃないか!そうだ、こいつにも分けてあげよう)
左之助 「お前も喰うか?うめえぞ」
(以外と美味いじゃないか!そうだ、こいつにも分けてあげよう をイメージしながら台本の台詞を発言)
かじった肉を戌亥番神に放り投げ、肉を受け取る戌亥番神
戌亥番神「俺は菜食主義者だ・・・。可哀想に・・・。」
(左之助の裏の気持ち:菜食主義者じゃ肉は食べられないな。んじゃあ酒ならいけるだろ)
左之助 「コレ飲むか?」
(菜食主義者じゃ肉は食べられないな。んじゃあ酒ならいけるだろ をイメージしながら台本の台詞を発言)
瓶に入った酒を戌亥番神に手渡す左之助
戌亥番神「くれ」
相手の台詞を受けてから、瞬時に気持ちを作って台本の発言をするので俳優さんは頭が良いと思います。
俳優さんによって気持ちの作り方は変わってきますので例えば水戸黄門などでも黄門様などの俳優が変わるだけで番組が全然違うイメージになったりするのです(台本を読むだけでは棒読みになってしまいます)。
演じる為の「裏の気持ち」を作り、あれだけ派手に動きながら演じるのは陰で相当の苦労が必要かと思います。しかし演じきっている!裏の気持ちを動作に乗せている!青木崇高が作った左之助を見事に演じている!青木さんの役作りの見事さに拍手を送りたいシゲルですっ!
影の努力家・或いは天賦の才能を持っている方が、左之助役の青木崇高さんかと思います。
剣心役の佐藤健さん同様に、左之助役の青木崇高さんも安心して見ていられますし、見ていてドキドキするのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?るろうに剣心の相楽左之助。
左之助が赤報隊の悲しい過去を、喧嘩に興じて忘れさせようとする時期があった事は少々残念でしたが、人間というのはそんなものかと思います。失敗して、失敗して、失敗して強くなっていくのです。始めから強い人・上手い人なんて居ません。
例えば、ここをご覧の皆様は、仕事や学業に専念していた時期があったと思います。その中で割と失敗が多い時期ってありませんでしたか?そしてその時期を思いだして下さい。「成長した時期ではありませんでしたか?」。
今までの生き方が間違っていようと、左之助同様にこれから生きて行く糧にしてしまえば良いのです。無駄な失敗などありません。むしろ、どんどん失敗した方が良いと思います。
左之助が剣心を見つけた時のように、この人と一緒に仕事したい!勉強したい!と思ったら一所懸命に切磋琢磨すれば良いのです。
たとえ失敗しようと、それは成長する時期ですので左之助同様にとにかく「行動しましょう」。
「失敗は成功のもと」でございます。多くの失敗を重ねて、その経験を使って皆で、この国を良くして行こうではありませんか!
それでは今日も素敵な1日を!
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