るろうに剣心の斉藤一といえば「悪・即・斬」の想いと剣心に匹敵する圧倒的強さが魅力的ですよね。
るろうに剣心好きの私はマンガを読み進めていくうちに、ある意外なことに気がつきました。
これを知ったうえで再度マンガを読んでみると、今までとは違った目線で斉藤一というキャラクターを楽しむことができますよ。
斉藤一を好きな人と語り合ったら、話が弾んで今まで以上に仲良くなれることは間違いありません。
では、斉藤一がどういったキャラクターなのかを見ていきましょう。
斉藤一について意外だったこと
引用元:じゃらん
るろうに剣心に登場するキャラクターにはモデルになった人物が多数登場します。
主人公の緋村剣心なら河上彦斎、ヒロインの神谷薫なら千葉佐那、雪代巴ならエヴァンゲリオンに登場した綾波レイ、相楽左之助なら原田左之助といった具合にモデルになった人物が居て作者の和月先生はそこからヒントを得ているのです。
しかし斉藤一に至ってはマンガで少々言葉遣いや技が派手になっているものの最初から最後まで「実在した斉藤一そのもの」。
つまりマンガ内の斉藤一を知りたければ歴史上の斉藤一を知れば良いわけであります。
こんな所に「るろ剣」聖地(斉藤一)
斉藤一の墓は阿弥陀寺というJR只見線の七日町駅前の寺内にあるのです。
彼は胃潰瘍の為に72才で東京にて亡くなりましたが生前の遺言により彼は福島県の阿弥陀寺に眠っています。
ここには戊辰戦争で亡くなった仲間達の墓もあり彼もここで眠る事は本望だったと思いますよ。
斉藤一の聖地は福島県の喜多方近くの七日町ですが、その他キャラクターの聖地はどこにあるのでしょうか。
こんな所に「るろ剣」聖地(明神弥彦と三条燕)
るろうに剣心に出てくるキャラクターの名前は作者の和月伸宏先生出身地である、新潟県長岡市周辺に密集しています。
長岡市から少し北に行った所に「燕三条」という新幹線の駅があります。るろ剣ファンならピンと来たと思いますが燕三条の名前を逆さにすると明神弥彦に一途な女の子、三条燕ちゃんの名前になります。また弥彦も燕ちゃん一筋です。
そして長岡市の北には弥彦線という電車が走っており弥彦駅と東三条を繋ぐ路線な訳ですが、ちゃんと燕三条駅にも停車しますよ。
るろ剣ファンは、これを知っただけでニヤニヤしちゃいますよね。
また長岡から信越本線で4駅行った所に塚山という駅もありますが、るろうに剣心に登場する弥彦のライバル塚山由太郎の名前もここから取ったのかな?とシゲルは思いますよ。
こんな所に「るろ剣」聖地(十本刀)
相楽左之助に二重の極み(ふたえのきわみ)を伝授した悠久山安慈ですが「悠久山公園」という場所が長岡市にあります。桜が多く植えられている場所でお花見にはもってこいな場所です。悠久山公園でお花見をしながら二重の極みの練習もしてみたいですよね。でもお酒を飲み過ぎてケガはしないように気をつけて下さいね。
十本刀の一人「刀狩りの張」の名前は沢下条 張です。この沢下条という地名も長岡から信越線で少し進んだ所にあります。
十本刀の一人で鎌を武器に使う本条鎌足ですが「本条」という地名が長岡市にあります。三島郡越路町という場所にあり本条というバス停もあり、お菓子を扱っているお店もありますよ。るろうに剣心のヒロイン神谷薫の父が神谷越路郎という名前ですが越路町から取ったと思われます。
十本刀の一人で十本刀3強の一人が魚沼宇水。魚沼といえばコシヒカリが美味しい場所で長岡から少し離れた場所にあるが長岡と同じ新潟県です。
弥彦・燕ちゃん・十本刀以外のキャラ以外でも新潟県長岡市周辺の地名が、るろうに剣心のヒントになっている箇所は多々ありますので、るろうに剣心ファンの方々は探してみて下さいね。
斉藤一のプロフィール
引用元:Wikipedia
名前:斉藤一(山口一 → 斉藤一 → 山口二郎 → 一瀬伝八 → 藤田五郎 と改名しており名前に全て数字が入っている)
性別:男性
生年月日:1844年2月18日
血液型:不明
性格:無口で冷静
身長:183cm
体重:71kg
好きな食べ物:蕎麦
嫌いな食べ物:不明
趣味:蕎麦の食べ歩き
口癖:阿呆が、悪・即・斬
弱点:「牙突」を繰り出した直後の右側面
その他特徴:目が細い、目つきが鋭い、マンガ内の斉藤一と実在の斉藤一はほとんど同じ。
声優:鈴置洋孝
実在の人物モデル:斉藤一
るろうに剣心のおおまかなストーリー
るろうに剣心は大きく分けて「本編」では3部作になっています。
【東京編】
明治11年東京。 廃刀令(はいとうれい)が発布され西洋文化が街に入り込んだ割と、のどかな東京が舞台です。
かつて幕末で最強の維新志士(いしんしし)と呼ばれた「人斬り抜刀斎」(ひときりばっとうさい)の名を語る悪い輩を、流浪人(るろうに)の緋村剣心がこらしめます。
この流浪人こそが、かつて最強と呼ばれた人斬り抜刀斎であり、助けられた神谷薫は「私は人の過去になんかこだわらない」と剣心を引き留めるのです。
浪漫譚(ろまんたん)の始まりは東京下町、流浪人の緋村剣心来訪から。
剣心が神谷道場に居座ってから人斬り抜刀斎と戦いたい者が次々と現れ仲間になってゆきます。
【京都編】
事実上、日本権力の頂点に居る大久保利通(おおくぼとしみち)が暗殺された。
この暗殺を計画した人物が、志々雄真実(ししおまこと)という明治政府を転覆させようとしている者で、かつて志々雄は影での人斬りを任された、いうならば人斬り抜刀斎の後継者である。
彼は剣の腕も頭の回転も速く支配欲を抱えた危険人物であった為、戊辰戦争(ぼしんせんそう)の混乱に乗じて明治政府は志々雄真実を暗殺した。
しかし志々雄真実は生きていた。 彼は復讐戦争を計画して京都を拠点に十本刀(じゅっぽんがたな)と呼ばれる腕利きを同士にし暗躍(あんやく)を始めるのです。
志々雄真実を放置すれば、これから確実に日本の迷走が始まる。 剣心は薫に別れを告げて京都へと向かいます。
京都に行く途中で剣心は十本刀の一人と一戦交えますが、お互いの刀が折れてしまった為、勝負はお預けとなるのです。
不殺(ころさず)を守る為には今まで所持していた逆刃刀無しには戦えない事、そして己の力量不足を補う為に逆刃刀を作った刀鍛冶(かたなかじ)と飛天御剣流の師匠に会いに行きます。
剣心の剣術は決して弱くはない。けれども心が弱かったのです。 奥義会得(おうぎえとく)には大変な努力が必要になりました。
逆刃刀真打(さかばとうしんうち)と飛天御剣流奥義を会得した剣心は途中で出会った仲間と共に志々雄真実の拠点で勝負をする事になります。
剣心の留守中に十本刀の多くが京都を襲い始めました。 京都に向かった神谷薫、明神弥彦、道中で仲間になった仲間達と共に京都を守ろうとするのです。
圧倒的な戦力の差はありましたが、マンガ特有の奇跡が起きて京都と日本は救われます。
【人誅編】(じんちゅうへん)
かつて剣心は人斬り抜刀斎として多くの人を「天誅(てんちゅう)」の名の下に叩き伏せ多くの者を殺しました。その復讐が人誅編。
「天が裁かなくとも己が裁きを下す」というのが人誅です。 剣心を恨む者達が集まり復讐を計画します。
復讐の首謀者は、かつての剣心の妻(巴)の弟、縁(えにし)。 妻は巴(ともえ)という名でした。
巴もかつて婚約者を剣心に殺害され復讐を計画した一人で剣心の弱点を探す為に近づきましたが、その優しさに彼を愛してしまい復讐は失敗に終わります。
巴同様に剣心も巴を愛しました。 巴は自分自身が剣心の弱点になった事に気が付き、剣心を守る為に自分を犠牲にして彼を守るのです。
その一部を見ていた縁は剣心が姉を殺害した。と勘違いをし復讐はここから始まります。
剣心と親しくしている者、言葉をかわした者、剣心が守った日本全てが縁の標的です。 勘違いから始まった復讐が始まります。
縁は剣心と親しくしていた神谷薫を殺害。 生きる気力を失った剣心は刀を鎖で封印し心が壊れてしまいます。
しかし神谷薫の死に疑問を持った者が現れました。 かつて剣心と戦った仲間です。
仲間達で薫の墓を暴き、薫の死体が人形である事を確認。 薫がまだどこかで生きている事を確信します。 姉の死を間近で見た縁に若い女性を殺す事は出来なかったのです。
仲間を守る為、薫を救う為に剣心の心が復活します。
心が強くなった剣心は、ほぼ無敵の状態でした。 あっさりと縁をこらしめトドメは巴の日記帳。 巴が剣心をどれだけ愛したか、自分がどれだけ勘違いをしていたか知れば精神的に、やられてしまうでしょう。
時は流れ明治15年。 剣心と薫は結婚し子供を授かります。 剣心は弥彦を呼び出し剣に魂が宿っているか見極めた後、逆刃刀を弥彦に託して一線を退(しりぞ)くのでした。
斉藤一に対しての熱い想い
引用元:歴史秘話ヒストリア
常に無口な斉藤一ですが発言する時は実に冷静で的確な発言をします。
彼の発言で、るろうに剣心のストーリーが違う方面に進んだ事もありますし夢中になってマンガを読んでいる読者を、その冷静な発言でハッと現実に戻してくれる事さえあるのです。
そんな彼を紹介してしまいますよ。
一番好きな所
るろうに剣心の主人公、緋村剣心に匹敵する、その強さでしょう。
物語終盤で緋村剣心は「あと5年以内に剣を振るえなくなる」と高荷恵に告げられ斉藤一と決着を付けようとしますが「俺が決着を望んだ相手は人斬り抜刀斎であってあの男などではない」と斉藤一は剣心との決着を拒否しています。(第252幕より)
もし決着シーンがあるのであれば、それは幕末の頃に決闘したような凄まじい闘いになった事でしょうが、剣心が飛天御剣流の奥義を会得し人斬り以上の強さを手にして人斬りで無くなってしまったので斉藤一は剣心に興味が無くなってしまったのでしょう。 斉藤一が決着をつけたかったのは緋村剣心でなく人斬り抜刀斎だったのです。こんな冷静な考えが出来る所も彼の魅力ですよね。
【牙突誕生】「緋村剣心に匹敵する、その強さ」といえば彼の必殺技「牙突」抜きには語れません。実際の斉藤一も突き技は得意でしたが池田屋事件の時は後から到着した為にその剣を振るう事はありませんでした。
その3年後の1867年に京都見廻り組の何者かに坂本龍馬が暗殺されます(近江屋事件)。 怒った志士たちは「坂本先生の仇を討つ」と龍馬暗殺の原因となった三浦休太郎を討つ事を計画。三浦は危険を察知した為、新選組に警備を依頼しました。
京都の天満屋滞在中の三浦に護衛は斉藤一含む7名の新選組がつきます。
坂本龍馬と交流があった中井庄五朗が先頭に立って天満屋に潜む三浦休太郎を襲撃。激しい闘いが始まり斉藤一は得意の突き技で襲ってきた中井庄五朗のノドを貫きました。かなり省略していますが、これで敵襲側は中井庄五朗が死亡。新選組も2名の死傷者を出した天満屋事件と呼ばれる事件です。
この斉藤一が得意とする突き技を和月先生は派手にして「牙突」という技にしたのではないかと思われます。
牙突は4種類あり通常の突き・斜め上から下ろす突き・対空の突き・対抜刀斎用の奥の手「牙突零式」という凄い技まで登場しました。
凄い技がある上に冷静な判断が出来るキャラクターであるがゆえ、緋村剣心と同じくらい強く剣心が物語り終盤で決着を付けたかったのも分かる気がしてきます。
外見のポイント
目つきが鋭く殺人鬼のような風貌。 普段は警官の制服を着ているので安全な人物に見えますが、「悪・即・斬」の強い信念の持ち主である事に変わりはない。
幕末の頃は維新志士達の敵として活躍した新選組3番隊組長の斉藤一ですが、明治という泰平の世になってからは常識を持つ冷静な警官として活躍している。
歩んできた人生
1844年2月18日、江戸に生まれる。 19才の時に口論の末、人を斬ってしまうが父の友人である吉田某の吉田道場に身を隠し吉田道場の師範代となる。
1863年に倒幕運動が高まり幕府を倒す剣心含む志士達が多く出てくる中、幕府を守る為に志士達に対抗する「新選組」という組織が作られた。斉藤一は新選組に入隊。新政府を作ろうとする志士達との激しい闘いが始まる。
1867年に徳川慶喜が大政奉還を行い旧幕府の指令で新選組は戊辰戦争に参加するが新政府軍に敗北。戦局の不利を知った新選組隊士達が相次いで脱走。徐々に新選組の戦力は低下して行き明治2年5月18日、幕府軍が降伏し戊辰戦争が終結した。
1874年(明治7年)までに篠田やそ、高木時尾と二度離婚と結婚をしており、時尾との間に3人の子供を授かる。その後、東京で警視庁に採用されて、るろうに剣心連載開始のマンガ内での明治11年には警部補にまで昇進している。
1892年(明治25年)に警視庁を退職。退職後は明治31年まで国立博物館物館史跡・湯島聖堂の守衛長として勤務。同時期に東京高等師範学校で剣術を教える。
1899年(明治32年)に東京女子高等師範学校の会計として勤務。生徒の登下校時は人力車の交通整理も行い明治42年に退職
1915年(大正4年)東京府東京市本郷区にて胃潰瘍の為に死去。遺言通り遺骨は福島県会津若松市の阿弥陀寺に移され72年の生涯を閉じて眠る。
目的としていること
「悪・即・斬」の3文字で収まってしまう悪い輩は許さない。という絶対的な信念の持ち主。
幕府を守る為に新選組で活躍していた頃は新政府こそが彼にとっての悪であっただろうし、明治7年には悪を許さない性格の為か警視庁に入っている
るろうに剣心のマンガ内では、警部補という警官の立場でありながら彼にとっての悪である志々雄真実や雪代縁の仲間と闘っています。斉藤一は奇襲が得意でマンガ内の斉藤一も実際の斉藤一も奇襲を突いて得意の突き技で敵を葬っています。
性格について
寡黙で冷静。 しかし何度も改名している事と「カネと女にだらしない」という証言もあり、かなりミーハーな性格だったのではないかと推測。
しかしながら卓越した剣の腕前も持っており、普段の低俗な顔と卓越した剣術の持ち主との二つの顔を持っていたのではないか。
マンガ内の斉藤一は寡黙で冷静だが「カネと女にだらしない」といった場面は出てこない。あえてそうしたのか、剣心のライバルが下品であっては作品が成り立たなくなったのを恐れた作者の和月先生がフィクションにしてしまったのかは分かりませんが、寡黙で冷静な部分だけは「確か」なようです。
普段の行動
マンガ内では警官の格好をして街の秩序を守りつつ好物の蕎麦をすすっている場面が多く見られる。 実際の斉藤一は警視庁の剣道大会で優秀な成績を収めるなどの記録も残っており剣術の修行を時間を惜しむ事なくしていたと思われます。
名言・名シーン
(名シーンは名言の周辺にありますので探してみて下さいね)
- やはり刀は日本刀に限るからね(第51幕より)
- 人斬り抜刀斎の強さは最も多く闘った新撰組が最も深くわかっている(第52幕より)
- 半端な強さなど無いに等しい 口先だけの偽善者の言葉など胸くそ悪くなるだけだ(第52幕より)
- 悪・即・斬(第52幕より)
- 新撰組隊規第一条「士道に背くあるまじき事」(第54幕より)
- 狼は狼 新撰組は新撰組 そして人斬りは人斬り なあ抜刀斎(第55幕より)
- 相手の弱点をつくのは戦術の基本中の基本 卑怯でもなんでもない(第58幕より)
- オイなんだこのイタチ娘は(第67幕より)
- ただ生きるだけなら家畜同然 誇りも尊厳も必要ないからな(第67幕より)
- 百人目は自分自身に決まりだな(第69幕より)
- 敵討ちは明治六年に法令で禁じられてるぜ(第71幕より)
- 誠の旗の下に散った狼達の鎮魂のためにも京都大火は絶対阻止だ(第93幕より)
- 人斬りに戻る決心はついたか(第98幕より)
- ちっハズしたか(第99幕より)
- 甲鉄艦か あんな代物が一個人の手に入るようじゃ どの道 明治政府も長くはないな(第101幕より)
- この俺が昂ぶるのはただ一つ 悪・即・斬という 俺自身の正義の為だけだ!(第113幕より)
- 闘いもせず尻尾を巻いた負け犬が 偉そうに吠えるな(第113幕より)
- 己の信念を貫けなかった男など 死んでも生きてても惨めなものだ(第114幕より)
- その時は当然生き残った方の勝ちに決まってる(第135幕より)
- お前等とは くぐった修羅場の数が違うんだよ(第146幕より)
- 新選組の中では唯一人不死身と呼ばれた男なんだがな(第196幕より)
- 俺が刀を振るうのは俺の正義のためだけだ(第197幕より)
- 勝ち戦でしか笑えんような男の軽口にこれ以上は付き合い切れん(第239幕より)
- 俺が決着を望んだ相手は人斬り抜刀斎であってあの男などではない(第252幕より)
凄さを解説
斉藤一といえば剣心の宿敵ですが牙突という大技を持っており剣心とは決着は付きませんでした。
その牙突を紹介したいと思います
- 【牙突】
相手に向かって走り込み左手で突きを放つ。相手が避けても横の斬撃が待ち受けている。 - 【牙突弐式】
相手に向かって走り込み斜め上から突き下ろす - 【牙突参式】
空中に居る相手に向かって突きを放つ対空迎撃用の牙突 - 【牙突零式】
間合いの無い密着状態から上半身のバネのみで繰り出す突き技で威力は凄まじい。
謎めいたところ
幕府を守る為に活躍した新選組三番隊組長、斉藤一ですが明治7年に警視庁に入りどうして明治政府を守る気になったのかが謎です。
新選組は新時代を嫌っていたのではないか?とは思うのですが妻の時尾という女性と3人の子供が居るので、彼らを守る為に気が変わったのかもしれませんね。
家族を愛する斉藤一の姿も少し見えた気がしてきます。
斉藤一の残念なところ
マンガ内で登場場面が少ない事でしょう。剣心の宿敵で、決着さえも付けたかった相手であるのに登場場面は弥彦や左之助より少ない。
また、るろうに剣心に出てくる敵役は最初は「とても強い」ですが、後々剣心の仲間になってゆきます。最初はとても強い敵だったので強い仲間が出来る訳です。強い仲間達は弱くなる事がなく強さが維持されるので、剣心の味方達の強さがインフレを起こし敵役が可哀想になってくる場面すらあるのです。
斉藤一もその一人。彼も京都を守る・東京を守る・悪即斬という剣心と同じ志(こころざし)を持ったキャラであるので実質仲間となって登場していますが斉藤一は新選組時代から宿敵として存在していたので敵か味方か分からない事になっていますが、斉藤一ファンのシゲルとしては最初から最後まで剣心の「敵役」として活躍させて欲しかったと思います。
斉藤一は、それくらい強くて「ラスボス」として設定したら文句の付けようが無いくらい適任です。
色々な所がミステリアスで良いとも思うのですが、もっと斉藤一の登場場面を増やして欲しかったとシゲルは思います。
自作ストーリーを考えてみた
剣心の子供「剣路」を主人公にし、斎藤一についてオリジナルストーリーを語らせてみました。
幕末から明治維新を駆け抜けて活躍した斉藤一(警視庁に入ってからは改名し藤田五郎に)と、日本の未来を背負う剣路のやりとりをお楽しみ頂けると嬉しいです。
剣路の悪・即・斬
第一章 やさしい両親
第二章 藤田警部補
第三章 話術「親しき仲に酒」
第四章 奥の手を持て
第五章 人を誉めろ
第六章 身なりに気をつけろ
第七章 剣路の悪・即・斬
第八章 剣路の零式
第一章 やさしい両親
文明開化というのは素晴らしいもので、皆が平等に牛鍋を食べたりお仕事が出来たりと四民平等というのは本当に素晴らしい事だと思います。戊辰戦争や池田屋事件のような怖い現実が20年ほど前にあったなんて嘘のような平和な東京です。現在は明治18年初夏。僕は、この地に住んでいます。
僕の母は薫という名前で東京の神谷道場という剣術道場で師範をしています。父は剣心という名前ですが改名した過去があるようで、昔は「人斬り抜刀斎」という呼び名の剣術の達人で、みんなから怖がられていたみたいです。少し前に父が道場で剣術の練習をするのを見た事がありますがクルクルと素早く回転しながら木刀で空気を斬っていました。
僕は驚いてしまい「父さん今のは何?」と聞いたら「昔よく使っていた龍巻閃という技でござる」とニコニコしながら言っております。
普段は優しい父です。昔は剣で人を斬っていたのかな?と想像してみたのですが今の父が優しすぎるので人を斬っていたなんて想像も出来ないし、出来るならしたくありません。母も厳しくもあるが優しい性格の持ち主で道場での弱い者いじめは絶対に許さないし、いじめが発覚したら道場の外で長時間正座をさせられる道場生も、たくさん見てきました。
そんな僕、緋村剣路ですが最近嫌がらせを受けています。師範の息子、伝説の剣士の息子であるにも関わらず、剣の才能がなく周りから笑われ、からかわれるのです。近所の子供達の輪に、なかなか入れてもらえず仲間外れにされて、ぶたれたり蹴られたり。僕が泣いてしまうといじめっ子達はますます面白がっていろいろな嫌がらせをしてくるのですが、やり返せない僕は自分がとても情けないと思うのです。
優しい両親に心配をかけたくないので友達と剣術ごっこをしてケガをしたとか、神社の階段で転んだとか言って誤魔化してはいますが、いつまで誤魔化せるか想像すると怖くなります。
だって母は道場の師範だし、父は人斬りと呼ばれていた剣術の達人でしょう?絶対に僕の代わりに仕返しに行くに違いないし、人を傷つけるような事は優しい両親にはして欲しくないのです。だから僕が我慢すればいいのです。僕さえ、我慢すればみんなきっと幸せなのです。
そんなある日、僕は僕の人生を変える出会いをするのです。
その日、僕はうつむき、傷を隠しながら家に向かう途中で、ある警官に声をかけられました。
第二章 藤田警部補
「傷だらけだぞ、どうかしたか?」
その警官はまるで獲物を狙う狼のような鋭い視線で僕を見つめるので何だか怖くなってしまいました。
「いえ。何でもないのですよ警官さん」
警官さんに悟られてしまったら両親に連絡が行く、それだけは絶対に避けなければいけない。僕は恐る恐る警官さんの横を通り過ぎようとすると、警官さんに着物の襟首を捕まれてしまったのです。
「何でもない訳がないだろう? このアザは何だ? この擦り傷は何だ?」
「あ・・・あのう・・・」
僕は悔しかった事を思いだして、ついに泣き出してしまい警察署に連れて行かれる事になってしまいました。
怖い警官さんが色々と質問をしてきます・・・。僕は自分が情けなくて涙が止まりません。
「お前の名は何という?」
「緋村剣路といいます。実家は剣術道場です」
目つきが鋭い警官さんは怖い顔をさらに怖くさせて質問を続けます
「本当の事を言え。その傷はどうした」
「近所の子供達にいじめられて付けられました」
「やり返そうと思わなかったのか」
「ケンカなんて怖くて出来ません」
ふう・・・。と煙草の煙を吐きながら警官さんがこんな事を言いました。
「お前の実家は剣術道場だよな。そこで剣術の練習をしてみろ。 いいかよく聞け。俺の言う通りにしていればお前は絶対に、いじめられなくなる」
「本当ですか!?」
と興奮気味に警官さんに言ったと思います。取り調べのような事をした後、しばしの雑談が始まりました。
どうやらこの警官さんは「藤田警部補」という方で街の治安を守っている人みたいです。それにしても不思議なのは、しきりに父さんの事ばかり聞いてくる事で、この事がとても不思議に思います。道場で師範をしている母さんの事は全然聞いてこないのに。
そして藤田警部補と約束をさせられました。剣術を習う事と3日おきに現状を正確に報告しに来る事。その条件を飲めば僕の両親には、いじめられている事は伝えない。というものですから僕はあっさりと承諾し藤田警部補とその日は別れました。
第三章 話術「親しき仲に酒」
帰宅して母さんに剣術を習いたい事を伝えると嬉しそうに僕が使う竹刀を渡してくれて、父さんにも同じ事を伝えると「そうか」とニコニコしながら洗濯物を畳んでいました。
翌日から竹刀を使っての稽古が始まります。練習場では相変わらず友達が出来ないけれども運動するのは割と楽しいと思うのです。
そして三日が経ったので藤田警部補に報告しに行く事にしました。藤田警部補は相変わらず煙草を吸いながら書類を読んでいます。
「失礼いたします!緋村剣路で御座います。藤田警部補!報告をしに来ました」
「ん?ああ、お前か。剣術の方はどうだ?」
「はい!運動をしていると嫌な事を忘れる事が出来るし楽しいし剣術を始めて良かったと思っています!」
「そうか。あとな剣路、そうかしこまるな。こっちが疲れる。俺の事は藤田さんでいい」
「は・・・はい! ありがとうございます! 藤田・・・さん!」
来たばかりなのに、どっと疲れた表情を藤田さんが見せていたのが記憶に厚いです。藤田さんはこんな事も聞いてきました。
「ところでお前、友達は出来たか?」
「いえ・・・。まだです。友達ってどうやって作るんですかね?」
やれやれ。という顔をしながら藤田さんは、お酒の話をしてきました。
「剣路。お前は「親しき仲に酒」という言葉を知っているか?」
「いえ。僕はまだお酒が飲めないので、よく分かりません」
「『そうじゃない。ひらがなにして紙に書くぞ。し・た・し・き・な・か・に・さ・け』」
藤田さんは、ここから妙に饒舌でした。
「最初の「し」は趣味の話。 次の「た」は旅の話。 次の「し」は仕事の話。 次の「き」は季節の話。 次の「な」は仲間の話。 次の「か」は家族の話。 次の「に」は西洋風に言うとニュース。 次の「さ」は酒の話。 最後の「け」は健康の話の頭文字になるよな。この9つは人間が興味を持っているであろう事だ。これを使って近くの者に話しかけてみろ。」
藤田さんが話を続けます。
「例えば今は夏にさしかかろうとしている。そろそろ、ひまわりが見頃な季節だよな? これをお前風に言うとたぶん「ひまわりが見頃なシーズンですよね。どこかにお出かけになったりするんですか?」といった具合になる。これだけで「季節」の話と「旅」の話が入っている」
「これは剣術・・・いえ、話術というものですか?」
「いいや、一般常識だ。話題に困ったらこれを使ってみるといい。3日後の友人が出来た報告を楽しみにしているぞ。いいか?『覚悟を決めろ』」
藤田さんはニヤリと笑いながら僕を警察署玄関まで送り届けてくれました。
翌日の練習場の休憩中に、僕は顔と手を汗びっしょりにして震えながら近くの練習生に恐る恐る話しかけてみると変化がありました。そうして3日が経過、僕は警察署に笑顔で飛び込んで藤田さんに会いに行ったのです。
第四章 奥の手を持て
「失礼いたします!緋村剣路で御座います。藤田さん!友達が出来ました。「夏に出てくるカエルってどこから声を出しているんですかね?」って道場の練習生に聞いたら、みんなが集まって来てワイワイと休憩時間中は夢中になって、みんなで喋って友達が10人も出来たんです!あと明神弥彦師範代も嬉しそうに僕の方を見ていましたが弥彦師範代もカエルに興味があるのですかね?」
「弥彦か。あいつは心が強いからな。」
「よし、剣路。次の宿題だ。師範代の明神弥彦と10分以上の会話をしてみろ」
「えええ?弥彦師範代とですか?怖くて近寄りがたいのですが、どうやったらできますか?」
「簡単だ。『必死で一所懸命な姿を見せ付けてやればいい。』雑念を捨てて稽古に夢中に真剣に取り組んでみろ。奴は強敵だぞ。必死になれ!友達の良い所を誉めろ!技を磨け!そして覚悟を決めろ!」
藤田さんの言う通りにしたら友達が出来たから、きっと上手く行く!と信じていたのですが普段の2倍は練習に励んでいるのに、なかなか弥彦師範代は隙を見せてくれません。そうして残念な報告を一ヶ月も藤田さんに報告し続けて僕の心は折れてしまいそうでした。
「失礼します。緋村剣路で御座います。藤田さん、練習は一所懸命に頑張っているのですが弥彦師範代に話しかけると、俺にゴマをすりに来るな。と追い返されてしまいます。」
「やはりな。大丈夫だ、とっておきがある」
藤田さんは、そう言うと日本刀を持って警察署の裏に僕を案内してくれました。警察署の裏は整備されていないようでゴツゴツとした岩が、あちこちに剥き出しになっています。
「俺の直線上に大岩があるよな? いいか剣路。一回しか見せないからな。」
「はい!」
と言った途端、藤田さんは鞘から剣を取り出して左手で剣を構え目の前にある大岩に走り込んで行き鋭い突きを放ったかと思うと目の前の大岩は爆音を立てて粉砕。僕は怖くなってしまい呆然としてしまった。
「ふ・・・藤田さん、今のは・・・」
「牙突という俺のとっておきだ。 これを見様見真似で練習してみろ。弥彦の奴、絶対にお前に興味が行くぞ。『奥の手を持っておくと自信も出るし相手も興味を持つものだ』おっと、ただし俺の名前は絶対に出すなよ。この事は内緒だぞ」
ニヤリと笑みを浮かべて藤田さんは署の中に入って行ってしまいました。僕は腰が抜けてしまい、しばらくその場から立てませんでしたが明日から牙突の練習をする!と心に決め覚悟を決めると不思議と身体に力がみなぎるのを感じました。
第五章 人を誉めろ
翌日から練習後に毎晩・毎晩と牙突の練習を始めたのです。実家が道場である事は有り難いと思います。見様見真似で牙突の練習を始めて一ヶ月。明神弥彦師範代から注意が入りました。
「剣路ちょっといいか?お前は剣術を始めて2ヶ月なのに何で突きだけは、そんなに鋭く出せるんだ? あとやけに右足に重心を置いてないか?」
「ええと、ええと。父が抜刀斎と呼ばれていたからじゃないですかね?遺伝のようなものがあるのでは」と、とっさに嘘をつきました。
そんなものなのかね・・・。と不思議そうに僕が練習する光景を眺める明神弥彦師範代。道場での練習後、弥彦師範代から残るように言われました。そして弥彦師範代から僕に話しかけてきたのです。
「剣路。お前は斉藤一という者を知っているか?」
「斉藤一さんですか?いいえ知りません」
弥彦師範代が僕の目をジッと見つめてきます。 師範代が「よし。嘘はついていない」と確信したのか色々と話始めました。
「剣路。昔な、お前の父剣心に宿敵が居たんだよ。突き技が得意な斉藤一って奴でな。根暗で殺人鬼のような目をしていて、ここの道場の壁を壊された事もある。本当に嫌な奴なんだが、お前の突きと斉藤の突きがそっくりだ」
根暗とか殺人鬼とか何もそこまで言う事ないじゃないかと思いつつも師範代が話しを続けました。そうこうしているうちに10分以上会話をする事に成功したのです。
「いいか剣路!斉藤にだけは、あいつだけには近づいちゃだめだぞ!」
「はい、大丈夫です。斉藤一さんなんて人は知りませんから!」
再び弥彦師範代が僕の目をジッと見つめる。嘘はついていないと確信したのか、そこで師範代とは話が終わりました。剣術を始めて2ヶ月にしてようやく藤田さんの宿題達成。さて、これから藤田さんの所に報告に行かなくちゃ。僕は警察署に向かいました。
「失礼いたします!緋村剣路で御座います。藤田さん、やりました!明神弥彦師範代と10分以上の会話してしまいました」
「な?言ったろ。『必死になって覚悟を決めれば結果など後から勝手に付いてくる』」
「そういえば弥彦師範代が不思議な事を言っていました」
「どんな内容だ?」
「僕の突きが根暗で殺人鬼で悪魔を崇拝している斉藤一さんっていう人の突きにそっくりだと言っていたような? そして危険人物だから近づくなと言っていたような?」
「剣路。それは間違った情報だから鵜呑みにするな。あと剣路、最近気が付いた事は無いか?まだ、いじめられるか?」
「あっ!全然いじめられなくなりましたね!」
「そうだろう?いじめる奴というのは例外無しに心が弱い。だから徒党を組んで孤独な者や弱そうな奴に狙いを定めていじめる、まあ根暗な連中だな。こいつらは「悪」と思っていい」
「なるほど!それで友達を作れと仰ったのですね!」
「あとは、こいつに絡んではいけない。という所を見せてやればいい。地獄の果てまで追い詰める雰囲気や武器を持っているといい。牙突もその一つだが『西洋風に言うとネットワーク作りも重要だ。』 嬉しかった事や感動した事を友人に伝えるといい。噂などすぐに広まるからな。友人を誉めると噂になって広まり最終的に自分に返ってくる。悪口・陰口はその逆だな。だから先ほど出た斉藤一さんを悪く言っては駄目だ。むしろ良い所を見つけて誉めてみろ」
「え・・・ええと。じゃあ斉藤一さんは突きが鋭くて格好いい!」
「もっと!」
「ええと、斉藤一さんは殺人鬼のような眼力の持ち主で男でも惚れてしまう」
「もっとだ!」
「ええと、斉藤一さんは悪魔が惚れるほどの剣豪でとても強い!」
「もっとだ!もっと来い!」
「ええと、斉藤一さんに近づくと危険と噂が流れるくらい剣の腕に切れ味がある!」
「もっとだ!来いよ!」
と、こんなやりとりがあり僕は警察署で3時間ほど昨日までは聞いた事も無い斉藤一さんという方を誉め続けました。藤田さんがここまで熱心に指導するから「人を誉める」というのは、とても重要な事なのでしょう。
第六章 身なりに気をつけろ
その後、藤田さんがニコニコしながら蕎麦を食べに行こう奢ってやる。と珍しく上機嫌なので付いて行く事になり、途中で着物を買ってやると藤田さんが怖いくらいに上機嫌なので買ってもらう事になったのですが、この上機嫌さが「恐ろしい」とさえ感じました。
僕は本当に安いボロボロの着物で良かったのに藤田さんが何故か高い着物を購入してしまったのです。お父さんやお母さんに聞かれたら何て言おう・・・。僕は高くてピカピカの着物を着て藤田さんと蕎麦屋に入りました。
「いらっしゃいませ!2名様ですか。ではあちら・・・。いえ!こちらの席にどうぞ」
僕たちはとても綺麗な席に案内されて蕎麦が出てくるのを待っている所で藤田さんが、こんな事を話しかけてきたのです。
「気づいたか?」
「ええと、あっちの方の汚い席を取りやめて、こっちの綺麗な席に案内されましたよね」
「『店の者が俺達の外見で判断したんだよ』」
「えっ?それだけの理由ですか」
「十分な理由だと思うがな。俺は警官の制服を着ていて剣路は綺麗な着物を着ている。お金を持っていると思われているんだよ。丁寧に接客すれば何度も来てもらえるだろう? ちなみに向こうの汚い席の近くには厠(かわや)がある」
「外見だけでそこまで変わるのですか!この店は「悪」じゃないですか!」
「お前だって外見が弱そうだったから、いじめられたのだろう?本当は強いのにな」
ここでフフフ。と藤田さんが必死に笑いを堪えている理由が僕には分からなかったけれど藤田さんから教わった事をまとめると、こんな感じになる。
1.友人を多く作る
2.必死になる
3.人を誉める
4.何らかの必殺技を持っておく
5.外出時に身なりは常に整えておく。
と、この五つがしっかり出来ていれば一目置かれる存在になるらしい。
第七章 剣路の悪・即・斬
蕎麦を食べ終えてお茶が出てきます。ここで藤田さんは僕に最後の宿題を出したのです。
「剣路。俺はな「悪・即・斬」の信念で生きている。今のお前にとっての「悪」とは何だ?」
「ええと、弱い者をいじめる連中です」
「そうだ!弱い者をいじめる連中は「悪」だよな。お前にとっての「悪」をこらしめて来い!ただし日本は法治国家になった。法律に逆らう事すなわち「悪」をすれば俺がお前を斬る!」
僕は本当に困ってしまいました。藤田さんから教わった牙突を使えば今まで僕をいじめていた連中など簡単に退治できる。けれど人を傷つけてはいけない。と父さんから教わった。どうしよう・・・。
そんな事を考えていると道場での練習に集中できなくなり、何度か弥彦師範代から激が飛んで来ました。
その日の夕方。困り果ててしまった僕は藤田警部補の所に相談しに行く事に決めたのです。警察署までの道中、見慣れた子供達が・・・。あっ!あいつらは僕をいじめていた連中じゃないか!また弱そうな子供をいじめてる!
僕は背中に刺した竹刀を抜き、大声を上げた。
「お前ら!まだ弱い者をいじめているのか!」
第八章 剣路の零式
「お・・・おいやべえよ。剣路に見つかった。あいつ最近すごく強くなったって・・・」
「俺ら5人も居るんだぜ?よってたかって、またいじめてやろうぜ」
5人が集団で僕を取り囲む。そうだ!あれをすれば・・・。僕は色々な教えを受けてピンと閃いたのです。
道に生えている木に牙突を突けば、その威力に驚いて、いじめっ子達が退散すると考えました。しかし木までの距離が無いです。牙突は突進して突く技なのですが木まで1メートルも無い状況。
取り囲んでジリジリと僕に近づく、いじめっ子集団。ここでまた閃きました。
「父さんと藤田さんの合わせ技だ!」
その突きは父さんが使う龍巻閃の如く身体を捻り、上半身のバネのみで突きを放つ僕だけのオリジナルの技でした。突きを受けた木はメリメリと音を立てて折れてしまい驚いたいじめっ子達は泣き出して、その場にへたり込んでしまったのです。
「お前ら!次いじめている所を見かけたら今度は真剣の日本刀で突いてやるからな!」
僕は眼力を込めて、いじめっ子達を睨んでやりました。もう僕をいじめる者など居ません。次に、いじめっ子達が誰かをいじめたら、たぶん僕に殺されると脳裏にすり込んでやりました。
・・・。遠くでその光景を見ていた藤田が呟いた。
「あれは牙突零式じゃないか・・・」
ニヤリと笑う斉藤一から改名した藤田警部補。
「さて、何か相談があるような顔をしていたから署で待っていてやるかな。 抜刀斎、しっかり貸しは作ったぞ」
アニメ化について
斉藤一の「声」がいいですよね。斉藤一の声を当てていた鈴置洋孝さんという方はかつて機動戦士ガンダムのブライト・ノア、聖闘士星矢のドラゴン紫龍の声をやっていました。ブライト・紫龍・斉藤一に共通している事といえば自分が傷つく事をあまり恐れていない事でしょうか?
なのでアニメ化については、まったく違和感は感じませんし他に適任はいるのか?といったくらいハマり役です。
斉藤一の声としては鈴置洋孝さんは最高ですし、アニメ内でも派手に必殺技を繰り出したりするので興奮してしまいますよね。
アニメは子供向けに作られているので魚沼宇水との闘いで牙突零式を出した時にマンガ内では胴体がちぎれて壁に身体が刺さりますが、アニメでは胴体はちぎれません。こういう細かい配慮をしてくれる辺りもアニメ制作に携わった方々に拍手を送りたいです。
実写化について
斉藤一を演じる江口洋介さんは、とても優れた役者なのですが映画内の斉藤一は少しふっくら・ぽっちゃりしています。
あと10キロくらい役作りで体重を落としてから頬がこけた状態で登場してくれれば言う事ナシだったのですが、江口さんは人気俳優で他の映画やテレビなどにも出演するので難しかったのでしょうね。
演技に関しては言う事はありません。素晴らしいですっ! 新政府軍と幕府軍の戦いが終わった時の江口さんの台詞・動きは目を見張るモノがありましたし、観柳邸に突入する際の演技も素晴らしいものがありました。来年(2021年)公開予定の人誅編にも登場するでしょうから期待して待っているシゲルです。
まとめ
いかがでしたでしょうか斉藤一。るろうに剣心の中では主要人物の中では唯一歴史上の「本物の人物」を登場させ活躍させています。
歴史上の斉藤一は割と地味なキャラなのですが、得意の突き技をマンガ流にアレンジして少年誌向けに派手にさせた作者の和月先生は流石ですよね。
記事内に書いた「るろ剣聖地」についても新選組で有名になった池田屋事件跡地は現在は居酒屋として存在しますし、天満屋事件のあった場所も跡地として京都に残っていますので新潟県長岡市周辺以外でも京都を訪れた「るろ剣ファン」は是非立ち寄ってみて下さい。
我々も斉藤一のように「悪・即・斬」の精神で悪い者をこらしめて、るろ剣ファンの皆様達・斉藤一ファンの皆様達で力を合わせて世の中を良くして行こうではありませんか。
それでは今日も素敵な1日を!
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